🦉 むかしむかし、森を追われた一羽のフクロウがいました。
かつて森で皆を見守っていたフクロウでしたが、
「あなたはもう必要ない」と言われ、静かに森を去ることになりました。
空を彷徨うフクロウがたどり着いたのは、
石と鉄でできた塔が立ち並ぶ、人間たちの都。
喧騒と光に満ちたこの場所に、フクロウの休める枝はなかなか見つかりません。
そんなある日、都の片隅にひっそりと存在する「小さな国」に出会います。
そこには、まだ砦も旗も整わぬ若い王がいました。
王は熱に浮かされたような瞳で、フクロウを見つめて言いました。
「我が国はこれから、この都に城を築く。
そして新たな秩序を、この混沌に打ち立てるのだ。
だが我には知恵が足りぬ。お主の目で都を見て、風を読み、助言をしてはくれぬか?」
フクロウは王の言葉に少し驚きました。
これまでの森では安心を与えることが使命だった。
だがこの王は、安心ではなく野心のために助けを求めてきたのです。
「都の風は、森とは違うぞ」
若き王はにやりと言いました。
フクロウは、再び羽を広げました。
小さな森を離れたフクロウと、都に夢を見た若き王。
ふたりの奇妙な同盟が、こうして始まったのです。
鉄と光と欲望の渦巻く世界で――。
🏢 東京ベンチャー戦記:その門を叩いた日
私の名前は川内崇浩。
転職エージェントの斡旋を受けながら、転職活動を続けている――しがない男だ。
いくつかの打診を受ける中で、ある日、奇妙な案件が舞い込んだ。
「東京のベンチャー企業がグループホームを立ち上げるらしいです」
「まだこれからですが、話だけでも聞いてみませんか?」
ベンチャー? 株式会社? 新宿?
どれも自分には縁遠い世界だ。
しかも対象は精神障害者。苦手意識も強く、あまり乗り気にはなれなかった。
でも「話だけでも」という軽さに流され、承諾した。
……だが、騙された。
🎭 面談のはずが、気づけば面接
数日後、エージェントから連絡が入る。
「すみません💦社長も是非お会いしたいと……」
うん? まぁ熱意があるのはいいことだ。
「あと……すみません💦念のため履歴書だけご用意を……」
おい、待て。
話だけじゃなかったのかよ。
だが断るほどの理由もなく、履歴書を用意して当日を迎えた。
🚪その扉の先には“異世界”があった
出迎えたのは、ギラついた社長と、デキる雰囲気の人事担当の女性。
場違い感、ハンパない。
社長は高学歴・元外資系の経歴。
普段なら絶対交わることのない人種。まさに異世界転生。
経歴や志望動機を尋ねられたが――正直、どうでもよかった。
開き直った私は、
「この制度を活かせば利益率が…」「空き室の回転率を上げるには…」
と、福祉の収益構造や用語解説を延々語り始める。
まるでプレゼンだ。
隣で顔面蒼白のエージェント。
そりゃそうだ。これは面接ではなかったはずだ。
……ところが、社長は食い気味で応じてきた。
「なるほど、B型との連携は…? 自社サービスとシナジーがあるね」
「補助金の仕組み、詳しく教えてよ」
会話は盛り上がり、気づけば1時間以上。
もはやビジネス会議。
そして、社長が言った。
「家族に、いい暮らしさせてあげなよ。一緒に事業を大きくしよう」
人事も笑顔で、
「もう結果はお分かりかと思いますが、後ほどご連絡しますね」
帰り道、エージェントがホッとした顔で言った。
「いやー、ヒヤヒヤしましたけど……いい結果になりそうですね」
……そりゃそうだろ。
こっちは面接を受ける気、そもそもなかったんだから。
💼 結果:採用、そして「破格」
後日、採用通知が届いた。
提示された条件を見て――目を疑った。
高給。
これが株式会社の力か……。
私は入社を決めた。
福祉とベンチャーの融合。
未知の世界に、両足を踏み入れた。
ここから、経験値がさらに加速していくことになる。