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深夜の職員図鑑①

私の名前は川内崇浩。
今月は楽勝のはずが、緊急案件が大量に重なり、死にそうな相談支援専門員だ。

なぜかこういうのは重なるのが世の常。
早いところ平穏な日々に戻りたいものだ。

……ということで、今夜は息抜きに「職員図鑑」を書いてみた。
現場で出会った、どこか愛すべき“キャラの濃い職員たち”を紹介しよう。


🧭No.1 異世界転生職員

ほかの法人から転職してきた職員。
異世界(前の法人)の知識を携え、無双したがるタイプ。

口癖は

「前の法人では~」
「ここの職場はぬるいですね」

その姿はまさに――
組織を抜け出し、正義のために刃を振るうダークヒーロー。

時折遠い目をして、こうつぶやく。

「あの戦場を経験してほしくない。辛い目にあうのは、私一人で充分だ……」

……いや、あなたの支援が荒いだけですから💦
ここのルールに従ってください💦
というか、そんなに前の法人が恋しいなら、帰ってください💦

(心の声)


⚔No.2 俺TUEEEEE職員

障害のある人を支援していると、ふと自分がひとかどの人物になったような気がしてくる。
それは誰しも一度は通る道。

……が、中には完全に覚醒してしまう職員もいる。

彼らの姿はまるで、小学生相手におらつく中学生。
謎の自信を身にまとい、現場を支配しようとする。

「俺がやれば落ち着くんですよ」

たぶん、なろう小説好き。
(ちなみに私も嫌いじゃない。)


🚐No.3 ガーディアン職員

なぜかどの事業所にも一人は存在する武闘派。
車の運転がうまく、軽整備もできる。

緊急対応のときは頼れる存在で、送迎を任されることが多い。
現場では絶大な信頼を得ており、周囲の職員から人望も厚い。

そのため、自然と腰ぎんちゃくが生まれる。

……はい、私、腰ぎんちゃくやってました。

ただし、ガーディアンが2体配置されると職場の空気は一変。

「どっちに頼もう……」
と、職員たちが微妙な緊張感に包まれる。


🐉No.4 劉備玄徳

人望が厚く、誰からも好かれ、何を任せても平均以上の成果を残す。
ガーディアンとの相性も抜群で、次期管理者候補。

まさしく中庸の中の中庸。
組織の安定を体現する存在。

……ただし、嫉妬もされやすい。

「あいつはうまく取り入ってるだけだ」
「上には気に入られてるけど、現場ではどうかな」

――はい、言ってました。
反省してます。


福祉の現場には、今日もいろんなタイプの職員がいる。
正義感の人も、職人気質の人も、そして時々“異世界からの転生者”も。

だけど結局のところ、みんな利用者さんの幸せを願っている――
……たぶん。


💬次回予告:
「職員図鑑 Vol.2」
妖精さん・森の魔女・請求の魔導士 編
(近日公開予定)

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ちむ夜話 第一夜

私の名前は川内崇浩

コンディションが非常に悪いなか緊急案件を複数件対応中の満身創痍の支援員だ

ただ今月は過去最高収入となるのでそれはそれで達成感がある

さて、今夜肩慣らしにこんな話を書いてみようと思う。

ちむ夜話 第一夜 消えた支援者F

この業界には、得体の知れない人間が職員として紛れ込むことがある。
福祉は人を支える場所であると同時に、働く場を失った者が身を寄せる場でもあるからだ。

Fという支援者も、そのひとりだった。
彼は一人の利用者に取り憑かれたように肩入れをした。
差し入れから始まり、映画や食事へと連れ出し、やがて「わが子にしたい」とまで口にした。

周囲が止めようとすればするほど、Fは声を荒らげた。
「どうして分からないんだ。あの人は俺を必要としている。
お前らが冷たいだけだ。だから福祉は底辺なんだ。」

利用者の心にも亀裂が走った。
「Fさんはしてくれるのに、他の支援者は何もしてくれない」
不満は広がり、支援の輪はじわじわと崩れていった。

だが、私たちの仕事は魚を与えることではない。
釣る術を共に学ぶことだ。
そのことをFは、どうしても理解できなかった。

やがて上司が静かに告げた。
「それは越えてはならない一線だ」

その言葉にFは怒り狂った。
「俺は元官僚だ。法律のプロだ。お前らなど足元にも及ばない」
彼は突然、奇妙な経歴を語り始め、条文を唱えるように並べ、己の正しさを証明しようとした。

それは本当の記憶か、それとも虚勢か。はたまた願望か・・・
誰にも確かめようはなかった。

その後、Fはふっと姿を消した。
だが夜になると――。
遠くの闇から、今もなお「俺は正しい、俺は選ばれた」とぶつぶつ繰り返す声が聞こえるという。

それを耳にした支援者は皆、口を閉ざし、二度とその話をしなくなる。

この話が事実かどうかは分からない。
ただひとつ言えるのは――福祉の現場にも、人知を超えた怪異が棲んでいるということだ。

―― 出典:福祉怪奇譚 奇々怪々

いかがだっただろうか、誰の心の中にもFは住んでいる。

今夜、貴方の耳にFの声が聞こえるかもしれない・・・

それでは今夜はこの辺で。

お休みの間悪魔に体を乗っ取られぬようお気をつけて・・・・