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第4話:師匠との出会いと、クセの強い福祉現場

むかしむかし、あるところに──
「俺はできる」と信じて疑わなかった、一羽の天狗がいました。
世の中をひと通り渡ってきたその天狗は、
「もうオレ様に教えることなどない」と、鼻高々に山を下りました。

次なる居場所を探して飛び回った天狗は、こうつぶやきます。

「すぐに次の山は見つかるっしょ。余裕余裕♪」

──しかし、どの山からも歓迎されず、扉はピシャリ。

「ん?おかしいな?……ま、こういう時もあるか」
「いやいや、さすがにこれは運が悪すぎるだろ」
「……え、まだ?まだ?また!?」

ようやく見つけたのは、評判のよろしくない、ボロボロの掘っ立て小屋。
「あんな場所、オレ様なら一週間で変えてみせる」
と、高い鼻で笑っていたその天狗は、
その後──「鼻どころか羽も折られる日々」が始まるとは、夢にも思わなかったのです。

俺の名前は川内崇浩。
36歳のとき、全然評価されない法人を飛び出した。
「すぐに次の職場なんて見つかるっしょ!」――余裕ぶっこいていた。

……落ちた。

まぁ、そんなこともあるっしょ!

……また落ちた。

……え、またまた落ちた。

気がつけば、俺はどこにでもいるただの支援員。
キャリアはあるけど、サビ管資格なし。
正直、訳あり職員だった。

やっと受かったのは、正直あまり評判のよろしくない社会福祉法人。
以前は心のどこかで見下していた。
でも、これが分相応――そこから、俺のサバイバル生活が始まった。


🧾 貧しさが明日を運んだ

給料は激安。
2年目、まさかの「住民税非課税世帯」に。

朝は老人ホームで早朝バイト。
昼は本業。
夜は内職やメール便。

……離婚されなかったのは奇跡だ💦

美容室?
「切ってもらうんじゃない、切られてやる」精神で、家族全員カットモデル。
服はブックオフ。
ブランド品が意外と安くて、「ドラクエの装備拾いかよ」と笑った日もある。

でも、その中で思った。
必要なものは、案外少ない。


🧭 師匠との出会いとガチ支援の日々

赴任先は、まさに発展途上国。
バリアフリー?ゼロ。
職員室?狭い。
エレベーター?ない。

師匠は、どこか飄々とした女性。
でも現場ではバリバリ。
そして天然。

  • ラーメン屋事件:「ラーメンにしとくわ(控えめ)」→「控えてない」
  • プール事件:両足つって、知らないおじさんに足を伸ばしてもらう
  • 「ヒルナンデス」出演事件:効果音付きテレビ出演(実話)

クセ強すぎ利用者と、限界職員数。
定時なんて概念はなく、夜のグループホームに突撃。
休日も支援、場外乱闘も支援。

支援は“マニュアル通り”じゃなく、“生き抜く知恵”だった。


🔧 パソコン、DIY、そして戦いの日々

パソコンが苦手な師匠に代わって、
俺のスキルは自然に伸びた。

備品が出ないのでDIYスキルも磨かれた。
何から何まで自分たちで整える、創意工夫の日々。


🧱「俺しかいないっぽいな」スイッチ

「ここで踏ん張るの、俺しかいないっぽいな」――
そう思ったとき、俺のスイッチは入る。

長所に見えるけど、実は副作用もある。
他人に頼るのが、めちゃくちゃ苦手になった。

「俺がやった方が早い」思考で、
どんどん抱え込む人間になっていった。


🧭 師匠の過去に、俺との共通点

ある日知った。
師匠も俺と同じ、大手法人の出身だった。

パートから始めて、正職になった過去。
「今は自由だけど、その分、全部自分の責任」

その言葉に、グッときた。
自由って、ラクじゃない。
覚悟が必要な働き方なんだ。

俺も支援の枠を、自分で作るようになった。
「決められた支援」じゃなく、「自分で選ぶ支援」。


💬 最後に

あの頃は、苦しかったけど、今の自分をつくった大事な日々だった。
貧しさは、確かに明日を運んでくれた。

師匠の元で得た知識、DIY力、支援力、行動力。
あのガチンコの日々がなければ、今の俺はない。

崖をジャンプしながらパラシュートを縫うような人生。
その布地は、あのカツカツ時代に拾ったボロ布かもしれない。

でも、それが俺の武器になってる。
だから今日も、ちょっと破れたパラシュートで空を飛ぶ。