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社長業ってどうなの?

私の名前は川内崇浩。

なんだか今週もブログを更新できた。

確変中の中年経営者だ。

さて、

「経営者」

と言われると、どんなイメージがあるだろうか。

時間に余裕がある。

会社には重要な会議や決裁の時だけ顔を出す。

夜はいい店で飲み歩く。

社長室の大きな椅子に座り、タバコをくゆらせながら、

「例の件、進めておいてくれ」

とか言っている。

そんなイメージを持つ人もいるかもしれない。

多分それは、

社長というよりオーナーに近い。

しかも、会社が自分抜きでも回るところまで育てた、かなり上位クラスのオーナーである。

もちろん、世の中にはそんな社長もいるのだろう。

残念ながら私はまだ、その職業には転職できていない。

私も、

「会社を経営しています」

と言うと、

「じゃあ時間に融通が利きますよね?」

と言われることがある。

以前には、

「経営者なら時間に融通が利くでしょう」

ということで、マンションの理事会の理事長をお願いされたこともある。

勘弁してください。

実際のところはどうなのか。

半分正解で、半分間違っている。

確かに時間の融通は利く。

平日の昼間に予定を入れることもできる。

少し遅く仕事を始めることもできる。

用事があれば、その時間だけ空けることもできる。

ただし。

仕事は一切減らない。

ここが重要である。

午前中を空けたら、午後か夜にその仕事をする。

一日休んだら、別の日にその仕事が待っている。

つまり、

仕事をしなくていい自由ではない。

仕事をする時間を移動できる自由である。

しかも社長業は、基本的に誰も代わってくれない。

職員であれば、有給休暇を取れば他の職員がカバーしてくれることもある。

しかし社長が休んだからといって、

「今日は代わりに社長やっておきますね!」

という人は現れない。

残念である。

給料についても同じである。

多くの経営者は、会社から役員報酬という形で報酬を受け取っていると思う。

少なくとも私もそうである。

これがまた、考えものである。

極端な話、

今日はほとんど仕事をしなかった。

それでも役員報酬は同じ。

逆に、

朝から晩まで働いた。

夜中まで仕事をした。

一か月休まず働いた。

それでも役員報酬は同じ。

残業代という概念はない。

たくさん働けばどうなるのか。

ただ疲れるだけである。

しかも、

「最近、社長が無茶な働かせ方をしてくるんですよ」

と愚痴を言おうにも、

その社長、私である。

どうにもならない。

すべては自己責任である。

そして経営者になってから、かなり数字で物事を見るようになった。

もちろん、世の中には余裕のある経営者もいる。

会社が安定して、経営にも十分な余白ができれば、

「地域のために何かしたい」

「社会貢献をしたい」

と考える人もいるだろう。

とても素晴らしいことだと思う。

ただ、私のような地べたを這いずり回っている小規模事業者には、そんな余裕がない時も多い。

何か新しい話を聞いた時も、

「素晴らしいですね!」

の前に、

「それ、いくらかかるんだろう」

と考える。

人を一人雇う。

月いくら。

事務所を借りる。

月いくら。

新しいサービスを始める。

初期費用いくら。

何でも数字に換算される。

夢がない。

しかし会社が潰れたら、もっと夢がない。

これでも私は、かなり恵まれている方だと思う。

会社はこれまで黒字を続けることができているし、借入金もない。

世の中には、融資を受けて事業を始め、その返済をしながら会社を回している経営者もたくさんいる。

売上を作る。

給料を払う。

社会保険料を払う。

税金を払う。

家賃を払う。

借入金があれば返済する。

そして残ったお金で、また次の月を迎える。

会社の資金というのは、ゲームで言えばHPみたいなものである。

増えている時は安心する。

減り始めると不安になる。

ものすごい勢いで減ると、

「ちょっと待って。回復薬どこ?」

となる。

残念ながら現実世界にはポーションは売っていない。

だから経営者は数字を見る。

ケチだからではない。

いや、ケチな人もいるかもしれない。

私は割とケチである。

ただ、会社を続けるためには必要なことでもある。

もちろん、社長になって良かったこともある。

あまり詳しくは書けないが、

社長ならではの、ちょっとした楽しみもある。

何度も言う。

あまり詳しくは書けない。

察してほしい。

そして何より、

自分で生きている実感がある。

これは大きい。

何をするのか。

何をしないのか。

誰と仕事をするのか。

どこまで会社を大きくするのか。

逆に、大きくしないのか。

全部、自分で決めることができる。

失敗したら自分の責任。

成功しても自分の責任。

誰かのせいにはできない。

でも、自分で決めることができる。

私は、この感覚が結構好きなのだと思う。

社長は自由である。

これは間違っていない。

ただし、

自由と責任はセット販売である。

自由だけください。

責任はいりません。

残念ながら、その商品は売っていない。

大きな会社を作りたいとは、今のところ思っていない。

たくさんの職員を抱えて、毎日人材管理をして、巨大な組織を率いる。

多分、私は向いていない。

小さな会社で、自分の目が届く範囲で仕事をする。

自分で考えて、自分で決める。

今くらいが、私にはちょうどいい。

社長という仕事が楽かと聞かれれば、

決してそんなことはない。

時間が余っているわけでもない。

お金の心配もする。

人の心配もする。

最終的な責任も自分に来る。

それでも。

もし来世というものがあるのなら。

たぶん私は、また社長をやっていると思う。

では今夜はこの辺で……。

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相談支援専門員は何故足りないか

私の名前は川内崇浩。

最近ブログを更新しようと頑張っている中年経営者だ。

よく巷では、

「相談支援専門員が足りない」

という声を聞く。

では、なぜ足りていないのか。

今回は私なりに書いていきたいと思う。

まず第一に、

そんなに不足しているなら、雇えばいいのではないか。

そう考える人もいるだろう。

だが、雇用する側から考えると、そう簡単な問題ではない。

例えば月給25万円で職員を一人雇ったとする。

当然、会社が負担するのは25万円だけではない。

社会保険料、交通費、賞与への備え、その他諸々。

色々考えていくと、私の感覚では最低でも月35万円程度の維持コストは見ておく必要がある。

そして、全くの初心者が入職したとして、翌月からバリバリ一人でケースを担当できるか。

もちろん無理である。

同行して、制度を覚えて、地域のことを覚えて、計画を作って、モニタリングを覚えて、会議に出て、役所とのやり取りを覚えて……。

独り立ちまで、最低でも3か月くらいは見ておく必要がある。

月35万円。

3か月で約100万円。

この時点で会社は100万円近い先行投資をすることになる。

しかも計画相談は、そこまで単価の高い仕事ではない。

私の感覚では、月20件程度モニタリングしてようやくトントン。

というか、まだちょい赤字。

25件くらい担当して、ようやく採算ラインが見えてくる。

つまり、

雇う。

育てる。

ケースを持ってもらう。

採算ラインまで育てる。

ここまで会社が耐えなければならない。

そして、もし3か月で、

「やっぱり辞めます」

となったらどうなるか。

純粋に100万円近い赤字。

悲しくて泣けてくる。

私のような小規模事業所にとって、100万円という金額は決して小さくない。

下手をすれば致命傷になりかねない。

そうなると当然、

「未経験者を一から育てるより、経験者を採用したい」

となる。

経営者としては極めて合理的な判断だと思う。

ただし。

みんながそれをやったらどうなるのだろう。

経験者だけが渡り鳥のように事業所から事業所へぐるぐる回る。

相談支援専門員の総数は増えない。

その経験者、誰が育てるんだよ。

という話になる。

では、行政が悪いのか。

私は決してそのようには思っていない。

そもそも私は、現在の計画相談の報酬がそこまで不当に低いとも思っていない。

実際、利用者さんの日々の生活を支えているのは、毎日現場で業務に邁進している各事業所並びに職員の方々である。

計画相談が毎日利用者さんの横にいるわけではない。

安定して生活されている方なら、

「特に変わりありません」

「このまま継続したいです」

「では、このままいきましょう」

で終わることだってある。

そう考えると、

「計画相談の基本報酬をもっともっと上げてくれ!」

と声高に叫ぶのも、私は少し違うように感じている。

今年度から処遇改善加算が付いただけでも、相当ありがたい。

ただし。

調整がめちゃくちゃ多いケースだけは報酬倍ください。

これは言いたい。

電話して、会議して、家族と話して、事業所と話して、役所と話して、医療とも話して……。

同じ「1件」でも工数が全然違う。

ここだけは、こっそり倍にしてほしい。

後は、

「グループホームを変えたい」

「今の就労Bから別の就労Bへ行きたい」

といった、同じサービス種別の中で事業所を変更する場合だ。

これも結構大変である。

事業所を探す。

連絡する。

見学の日程を決める。

体験利用を調整する。

体験する。

振り返る。

関係機関と情報共有する。

必要なら、また次を探す。

結構な工数である。

ところが、この調整そのものには基本的に大きな報酬はない。

厳密に言えば多少評価される部分もあるのだが、本当に雀の涙程度である。

正直、

普通にモニタリング1件行った方が工数は少ない。

事業所を探して、見学して、体験して、振り返って……。

これがほぼボランティア。

悲しくて泣けてくる。

では、

「事業所変更調整加算!」

みたいなものを作ればいいのではないか。

……とも思うのだが、これも良くないのは分かっている。

事業所を変更すれば相談支援事業所に報酬が入る。

そんな仕組みにしたら、たちまち不正の温床になりかねない。

本来必要のない変更まで、

「こちらの事業所はいかがでしょう?」

なんて話になったら本末転倒である。

では、行政は何もしてくれないのか。

もちろん、そんなことはない。

市区町村によって制度の違いはあるが、新規に相談支援専門員を雇用し、一定の要件を満たすことで、人材育成にかかった100万円程度をペイできるような補助制度もある。

これは本当にありがたい。

ただし。

一番お金が欲しい時には、まだ入ってこない。

雇った瞬間から給与は発生する。

社会保険料も発生する。

育成コストも発生する。

でも補助金は、一定期間きちんと雇用して、要件を満たした後に入ってくる。

「じゃあ最初に100万円ください」

と言いたくもなる。

しかし、これも分かっている。

前金で100万円を渡す制度にしたら、間違いなく不正の温床になる。

採用しました。

100万円もらいました。

すぐ辞めました。

そんな制度では公費として成立しない。

だから私は、

「行政が悪い」

とは全く思っていない。

むしろ色々と考えて制度を作り、補助もしてくれていると感じている。

行政には行政の事情がある。

事業者には事業者の事情がある。

制度を緩くすれば不正の余地が生まれる。

厳しくすれば、今度は事業者の負担が増える。

報酬を上げれば財源が必要になる。

加算を作れば、その加算を目的とした行動が生まれる可能性もある。

考えれば考えるほど、

簡単な答えがない。

だから今日も考える。

相談支援専門員をどうすれば増やせるのだろう。

小さな事業所でも、安心して新人を育てられる仕組みは作れないものだろうか。

何か良い手立てはないものか……。

そんなことを考える日々である。

では今夜はこの辺で……。

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職員図鑑 Vol.3

私の名前は川内崇浩 最近ブラックコーヒーを買うようになりやっと大人の仲間入りができた感じているしがない経営者だ

職員図鑑も、とうとうVol.3まで来てしまった。

最初は軽い気持ちで始めたはずなのだが、気がつけば10種類目である。

福祉の森は広い。

そして、妙な職員が多い。

今回はいよいよ最終回。

……たぶん。

No.8 聖騎士

福祉の森には、時々ものすごく真面目な職員がいる。

利用者さんのためなら休憩時間を削る。

勤務時間が終わっても仕事が残っていれば帰らない。

休日でも何かあれば連絡を確認する。

そして言う。

「利用者さんのためですから!」

まぶしい。

あまりにもまぶしい。

おそらく聖属性である。

こういう職員を、私は勝手に聖騎士と呼んでいる。

聖騎士は強い。

困っている利用者さんがいれば動く。

職員が困っていれば助ける。

急な欠勤が出れば、

「私、出ますよ!」

と言う。

管理者からすると非常にありがたい存在である。

ただし。

聖騎士が増えすぎると、職場全体が聖域になる。

「〇〇さんは休憩取らずにやってるよ」

「昨日も残ってくれたよ」

「みんな利用者さんのために頑張ってるんだから」

いつの間にか、

聖騎士であることが標準装備になる。

これは危ない。

本来、聖騎士はレア職なのである。

全員に聖剣を持たせてはいけない。

休憩は取る。

休みの日は休む。

勤務時間が終わったら帰る。

それでも回る仕組みを作るのが組織の仕事である。

さもないと、ある日突然、別の騎士団がやってくる。

労働基準監督署である。

こちらの騎士団は強い。

しかも聖属性が通用しない。

「利用者さんのために……」

と言っても、

「そうですか。ところで勤怠記録を見せてください」

で終わる。

福祉に熱意は必要だと思う。

でも、熱意だけで職場を回してはいけない。

長く働けること。

ちゃんと休めること。

明日も普通に出勤できること。

それもまた、利用者さんのためなのである。

聖騎士よ。

今日はもう帰ろう。

魔王は明日でも倒せる。

No.9 デジタルデビルサマナー

福祉の森にも、デジタル化の波が押し寄せている。

そんな中、たまに現れる。

パソコンに妙に詳しい職員。

Excelが得意。

Wordも得意。

プリンターがおかしくなれば直す。

Wi-Fiが切れれば、とりあえずルーターを見る。

業務を見ながら、

「これ、毎回手入力してるんですか?」

などと言い出す。

そして翌週。

謎のExcelファイルが完成している。

ボタンを押す。

一瞬で終わる。

職員一同、

「おお……!」

魔法である。

本人にとっては大したことではない。

「関数入れただけですよ」

と言う。

だが福祉の森では、その関数が古代魔法だったりする。

POPも作れる。

チラシも作れる。

ちょっとした画像加工までできる。

非常に便利である。

ただし、一度その能力が発覚すると終わる。

「〇〇さん、パソコンちょっと見てもらえます?」

「〇〇さん、プリンターが……」

「〇〇さん、この表なんだけど……」

「〇〇さん、Wi-Fiが……」

気がつけば、

法人内ヘルプデスクになっている。

本人は支援員として入職したはずである。

しかし今日もプリンターと戦っている。

ちなみに戦闘能力はあまり高くないことが多い。

力で押すより、相手の話を聞き、距離を取り、刺激を減らす。

物理攻撃より状態異常解除を好む。

デジタルデビルサマナーは、今日も静かに福祉の森を自動化している。

ただし、お願いがある。

「パソコン詳しいんだね!」

と気軽に言ってはいけない。

そこから彼の長い戦いが始まる。

No.10 琉球の風

夏が近づくと、突然そわそわし始める職員がいる。

「今年、沖縄いつ行こうかな」

また行くのか。

去年も行っていた。

その前も行っていた。

もはや旅行ではない。

帰省に近い。

こういう職員を、私は琉球の風と呼んでいる。

琉球の風にとって、夏季休暇は沖縄へ行くために存在する。

他の職員が、

「今年の夏休みどうしようかな」

と考えている頃には、すでに飛行機を取っている。

強い。

そして休み明け。

職場に大量のちんすこうが置かれる。

時々サーターアンダギーもある。

本人は少し日焼けしている。

そして、なぜか海人Tシャツを着ている。

沖縄の知識も豊富である。

「沖縄行くなら〇〇がいいですよ」

聞いていない。

「そこ観光客多いから、こっちの方がいいです」

まだ行くとも言っていない。

「レンタカーなら――」

だからまだ行くとは言っていない。

ちなみに琉球の風と、以前紹介した倭人は相性がいい。

倭人が和柄について語り、

琉球の風が沖縄について語る。

休憩室で突然、文化交流が始まる。

誰も止められない。

ただ、琉球の風が休暇から戻ってくると、職場が少し明るくなる。

お土産を配りながら楽しそうに旅行の話をしている姿を見ると、

まあ、いい休みだったなら何よりである。

職員がちゃんと休んで、好きなところへ行って、元気になって戻ってくる。

聖騎士にも見習ってほしい。

おわりに

これで職員図鑑もNo.10となった。

異世界転生職員。

俺TUEEEEE職員。

ガーディアン。

劉備玄徳。

妖精さん。

森の魔女。

倭人。

聖騎士。

デジタルデビルサマナー。

そして琉球の風。

福祉の森には、本当に色々な職員がいる。

強い人もいる。

不器用な人もいる。

妙なこだわりを持つ人もいる。

やたら沖縄に行く人もいる。

でも、それぞれ違うから職場は面白い。

全員が聖騎士である必要もない。

全員がデジタルデビルサマナーでも困る。

色々な人がいて、それぞれ得意なことを持ち寄って、なんとなく一つの職場ができている。

それくらいでいいのだと思う。

というわけで、

福祉の森で見かける職員図鑑、これにて完結。

長らくお付き合いいただき、ありがとうございました。

また妙な職員を発見したら帰ってくるかもしれない。

……たぶん。

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ご無沙汰しておりまする・・・・

私の名前は川内崇浩。

以前、このブログで「職員図鑑」という、何の役に立つのかよく分からない記事を書いた。

そして最後には、

「次回予告:職員図鑑 Vol.2 妖精さん・森の魔女・請求の魔導士 編(近日公開予定)」

とまで書いてある。

……そして月日は流れた。

近日とは何だったのだろうか。

ということで、誰も待っていなかったであろう「職員図鑑 Vol.2」。

今さらながら開幕である。

ちなみに予告に登場した「森の魔女」と「請求の魔導士」。

よく考えたら同じ人だった。

そのため今回は、新たに「倭人」を加えてお送りしたい。


🧚 No.5 妖精さん

どこの職場にも時々現れる、可愛い系担当の女性職員。

明るく、優しく、愛嬌がある。

その魅力は利用者さんだけにとどまらず、男性職員まで魅了する。

妖精さんが出勤すると、なぜか職場の空気が少し明るくなる。

普段は無口な男性利用者さんがよく喋る。

普段は腰の重い男性職員が、なぜか率先して動く。

「俺、送迎行きますよ」

……さっきまで嫌がってませんでした?

恐るべし、妖精さんのバフ効果。

しかし、妖精さんにも成長ルートが存在する。

数々の修羅場を経験し、支援力と判断力、そして時には厳しさまで身につけると――

「ハイエルフ」へと進化する。

優しさと厳しさを兼ね備え、利用者さんからも職員からも信頼されるパーフェクト超人。

管理者としては、ぜひともハイエルフまで育ってほしい。

……のだが。

大体その前に寿退社する。

そして管理者は静かにつぶやく。

「……ハイエルフまで育てたかったなぁ」

妖精さんの育成難易度は、意外と高い。


🧙‍♀️ No.6 森の魔女

福祉の森の奥深くに生息する、請求担当の女性事務員。

眼鏡とカーディガンが正装。

普段は静かに森の奥で暮らしているが、その正体は事業所の命運を握る強大な魔女である。

国保連請求はもちろん、各種加算にも精通。

現場職員には到底理解できない古代魔法、

「常勤換算」
「算定要件」
「返戻」

などを自在に操る。

知を求める者が森を訪れると、時として貴重な加算の知識を授けてくれる。

「あの……この加算って取れますか?」

機嫌が良ければ、

「それなら〇〇を整えれば取れるよ」

と、ありがたい神託を授けてくれる。

しかし、機嫌が悪い日に訪れてはいけない。

特に――

月末に魔女へ話しかけることは、死を意味する。

何も知らない若者が森へ入り、

「すみませーん。この前の領収書なんですけどー」

などと話しかけようものなら、

魔女はゆっくりと眼鏡の奥からこちらを見る。

その瞬間、すべてを悟る。

……今日は帰ろう。

熟練した職員になると、遠くからでも魔女の機嫌を察知できるようになる。

カーディガンを羽織り、無言でパソコンを叩いている。

机の上には大量の書類。

――森に入ってはいけない日である。

福祉事業所が今日も無事に運営できているのは、我々の知らないところで魔女が魔法を使っているからなのかもしれない。

決して怒らせてはいけない。

特に月末は。


🌸 No.7 倭人

福祉の現場に時折現れる、異様に「和」を愛する職員。

小物に和柄。

財布も和柄。

携帯の待ち受けも、桜、富士山、月夜、竹林――。

なんだかよく分からないが、とにかく和っぽい。

そして、その情熱は仕事にも容赦なく持ち込まれる。

自主製品にまで和の要素を取り入れ始める。

「これ、和柄にしたら良くないですか?」

市場調査?

ターゲット層?

顧客ニーズ?

知らん。和が大事だ。

気がつけば、事業所の自主製品に桜、麻の葉、青海波などが増殖していく。

本人は満足そうである。

休憩時間に飲むお茶は、もちろん伊右衛門。

なぜか綾鷹ではない。

伊右衛門なのである。

そんな倭人にも弱点がある。

飽きる。

あれほど愛していた和柄の小物が、ある日を境に少しずつ姿を消していく。

携帯の待ち受けも変わる。

自主製品の新作にも和柄が登場しなくなる。

そして数か月後――

まるで何事もなかったかのように、普通の職員へ戻っている。

しかし安心してはいけない。

何かのきっかけで再び桜柄の小物を手にした瞬間、

倭人の血が目を覚ます可能性がある。

ちなみに私も一時期、和柄が大好きでした。

伊右衛門も好きでした。

……はい、私です。


福祉の現場には、今日もいろんな職員がいる。

妖精さんが場を明るくし、

森の魔女が請求を守り、

倭人が頼まれてもいないのに和柄を持ち込む。

得意なことも、苦手なことも、妙なこだわりも人それぞれ。

そんな人たちが集まって、今日も福祉の現場はなんとなく回っている。

そして、この職員図鑑を書きながら改めて思った。

職員を分類して遊んでいる私自身が、

たぶん一番変な職員だったのかもしれない。

……ということで、職員図鑑 Vol.2。

今度こそ無事完結。

Vol.3があるかどうかは――

知らん。

その時の気分が大事だ。