私の名前は川内崇浩。
最近ブログを更新しようと頑張っている中年経営者だ。
よく巷では、
「相談支援専門員が足りない」
という声を聞く。
では、なぜ足りていないのか。
今回は私なりに書いていきたいと思う。
まず第一に、
そんなに不足しているなら、雇えばいいのではないか。
そう考える人もいるだろう。
だが、雇用する側から考えると、そう簡単な問題ではない。
例えば月給25万円で職員を一人雇ったとする。
当然、会社が負担するのは25万円だけではない。
社会保険料、交通費、賞与への備え、その他諸々。
色々考えていくと、私の感覚では最低でも月35万円程度の維持コストは見ておく必要がある。
そして、全くの初心者が入職したとして、翌月からバリバリ一人でケースを担当できるか。
もちろん無理である。
同行して、制度を覚えて、地域のことを覚えて、計画を作って、モニタリングを覚えて、会議に出て、役所とのやり取りを覚えて……。
独り立ちまで、最低でも3か月くらいは見ておく必要がある。
月35万円。
3か月で約100万円。
この時点で会社は100万円近い先行投資をすることになる。
しかも計画相談は、そこまで単価の高い仕事ではない。
私の感覚では、月20件程度モニタリングしてようやくトントン。
というか、まだちょい赤字。
25件くらい担当して、ようやく採算ラインが見えてくる。
つまり、
雇う。
育てる。
ケースを持ってもらう。
採算ラインまで育てる。
ここまで会社が耐えなければならない。
そして、もし3か月で、
「やっぱり辞めます」
となったらどうなるか。
純粋に100万円近い赤字。
悲しくて泣けてくる。
私のような小規模事業所にとって、100万円という金額は決して小さくない。
下手をすれば致命傷になりかねない。
そうなると当然、
「未経験者を一から育てるより、経験者を採用したい」
となる。
経営者としては極めて合理的な判断だと思う。
ただし。
みんながそれをやったらどうなるのだろう。
経験者だけが渡り鳥のように事業所から事業所へぐるぐる回る。
相談支援専門員の総数は増えない。
その経験者、誰が育てるんだよ。
という話になる。
では、行政が悪いのか。
私は決してそのようには思っていない。
そもそも私は、現在の計画相談の報酬がそこまで不当に低いとも思っていない。
実際、利用者さんの日々の生活を支えているのは、毎日現場で業務に邁進している各事業所並びに職員の方々である。
計画相談が毎日利用者さんの横にいるわけではない。
安定して生活されている方なら、
「特に変わりありません」
「このまま継続したいです」
「では、このままいきましょう」
で終わることだってある。
そう考えると、
「計画相談の基本報酬をもっともっと上げてくれ!」
と声高に叫ぶのも、私は少し違うように感じている。
今年度から処遇改善加算が付いただけでも、相当ありがたい。
ただし。
調整がめちゃくちゃ多いケースだけは報酬倍ください。
これは言いたい。
電話して、会議して、家族と話して、事業所と話して、役所と話して、医療とも話して……。
同じ「1件」でも工数が全然違う。
ここだけは、こっそり倍にしてほしい。
後は、
「グループホームを変えたい」
「今の就労Bから別の就労Bへ行きたい」
といった、同じサービス種別の中で事業所を変更する場合だ。
これも結構大変である。
事業所を探す。
連絡する。
見学の日程を決める。
体験利用を調整する。
体験する。
振り返る。
関係機関と情報共有する。
必要なら、また次を探す。
結構な工数である。
ところが、この調整そのものには基本的に大きな報酬はない。
厳密に言えば多少評価される部分もあるのだが、本当に雀の涙程度である。
正直、
普通にモニタリング1件行った方が工数は少ない。
事業所を探して、見学して、体験して、振り返って……。
これがほぼボランティア。
悲しくて泣けてくる。
では、
「事業所変更調整加算!」
みたいなものを作ればいいのではないか。
……とも思うのだが、これも良くないのは分かっている。
事業所を変更すれば相談支援事業所に報酬が入る。
そんな仕組みにしたら、たちまち不正の温床になりかねない。
本来必要のない変更まで、
「こちらの事業所はいかがでしょう?」
なんて話になったら本末転倒である。
では、行政は何もしてくれないのか。
もちろん、そんなことはない。
市区町村によって制度の違いはあるが、新規に相談支援専門員を雇用し、一定の要件を満たすことで、人材育成にかかった100万円程度をペイできるような補助制度もある。
これは本当にありがたい。
ただし。
一番お金が欲しい時には、まだ入ってこない。
雇った瞬間から給与は発生する。
社会保険料も発生する。
育成コストも発生する。
でも補助金は、一定期間きちんと雇用して、要件を満たした後に入ってくる。
「じゃあ最初に100万円ください」
と言いたくもなる。
しかし、これも分かっている。
前金で100万円を渡す制度にしたら、間違いなく不正の温床になる。
採用しました。
100万円もらいました。
すぐ辞めました。
そんな制度では公費として成立しない。
だから私は、
「行政が悪い」
とは全く思っていない。
むしろ色々と考えて制度を作り、補助もしてくれていると感じている。
行政には行政の事情がある。
事業者には事業者の事情がある。
制度を緩くすれば不正の余地が生まれる。
厳しくすれば、今度は事業者の負担が増える。
報酬を上げれば財源が必要になる。
加算を作れば、その加算を目的とした行動が生まれる可能性もある。
考えれば考えるほど、
簡単な答えがない。
だから今日も考える。
相談支援専門員をどうすれば増やせるのだろう。
小さな事業所でも、安心して新人を育てられる仕組みは作れないものだろうか。
何か良い手立てはないものか……。
そんなことを考える日々である。
では今夜はこの辺で……。
